追跡

第一節 雪の夜



あの日、世界が変わった。
  あの日、雪が降っていた。
  全てを知らず、ただ生きていたあの日にも。
  雪が降れば、何かが変わる。
  そして今日も、雪が降る。











 ――雪が降っている。
 激しくもなく、穏やかというわけでもなく。外にさらされている顔は、鋭く冷たい風と白い結晶で、体温を奪われていた。
 クリスマスは、とうに過ぎてしまっているが、一般的にはまだ正月休み。
 そのせいか、街中はシン……と、静まり返っていた。これだけ寒いのだから、多くの人々は、暖かい家の中で食事をしたり、ゲームをしたりと、正月休みを満喫しているからだろう。
 冷たく張り詰めた静寂に包まれた街中の住宅街に続く通りを歩く人物が二人いた。
 夏原篤中佐と、夏原の上官である斉藤征一郎大将だった。
 彼らは、芒星国中央陸軍司令本部に籍を置いている。いわゆるエリート軍人だった。
 斉藤は、今年で四十になる。階級は大将。よく変人と言われている彼だが、その理由は経歴を紐解いてみると、高校を卒業したあと、芒星国の北部にあるガラヴァスディ合衆国に友人二名と一緒に渡った。そこで五年間を過ごした後、次はガラヴァスディ合衆国と地続きとなっているシリウス連合国に四年間留学。その間に、同じ芒星人の美江子と結婚。そこで、事業を興して成功する。しかし、その事業は秘書であった青年に任せて、シリウス連合王国の研究所に勤めてしまう。その七年後、日本に帰国して今に至っている。
 この経歴を一度見た人間は、口を揃えて「変わっている」と言ってきた。夏原にしてみれば、シリウス連合王国での実戦経験がある点では、こちらが学ぶべきものがたくさんあると、思う。
 夏原を筆頭とした中央陸軍司令本部に在籍している陸軍士官一同は、貴族出身で自分が正しいと本気で思っているコミュニケーション不全の頭でっかちばかりだ。心の底から斉藤大将の爪の垢でも煎じて飲ませたい。
 夏原は、煮えたぎってきた頭を冷やすために、アスファルトで舗装されている道路に目を向けた。
 薄っすらと、雪に白化粧されている。彼等二人分の足跡が、白くなったアスファルトに刻まれていく。
 夏原は、斉藤の背中を見守るように、三歩離れて斉藤の後をついていく。
 前を歩いている斉藤は、黙々と足を動かして歩いている。
 二人の間に会話は一切無いが、彼等の間にある沈黙は居心地の悪いものではない。とても穏やかなものが漂っている。
 斉藤の右手には、真っ赤な薔薇の花束が、夏原の両手には、大きなチョコレート色のテディ・ベアがある。
 二人の顔は、こちらが見て思わず微笑んでしまうほどの、顔を綻ばせていた。
 今日は、斉藤の愛娘―紗江子―の誕生日なのだ。最愛の娘の誕生日だからか、斉藤の足取りが軽い。
「喜んでくれるでしょうね」
 足取りと同じように軽やかな夏原の低音の声が、斉藤の耳を波打つ。
 しんしんと、静かに雪を降らせ続ける柔らかな闇の空を見上げる。こんな夜に、紗江子は生まれたのだと、斉藤は昔に思いを馳せる。
「もちろん」
 夏原の言葉に頷く。斉藤の目元に笑い皺ができた。斉藤の嬉しそうな声に、夏原は小さく声をたてて笑った。素直に、幸せだと思える。
 プレゼントは、夏原が考えて購入したものだ。紗江子の笑顔を思い浮かべて、色々と頭を捻った結果、紗江子の大好きなテディ・ベアにした。
 紗江子の笑顔は、二人にとって、仕事で疲れきった心にとっておきの栄養剤である。上官の愛娘の笑顔に口元を緩めていた。
 だが、ふと癖のある笑顔を脳裏に浮かべてしまった。
 現在進行形で捜査中の百鬼家次期当主である百鬼が、一年前の冬に、突然その姿を消した事件のことだ。彼の護衛である飛鳥癒衣と夏原の弟、忠と共に消えた――。
 心配はしていないが、違う意味で心配だ。自分の記憶を紐解けば、確か弟の忠と、百鬼朔野と飛鳥癒衣の仲は険悪でなかっただろうか?
 三人の内の誰かの死体が、発見されていないから、修羅場にはなっていないのだろう。
 かじかんだ手に、はぁっと熱い息を吹きつける。手を擦ってその熱を広げさせようと躍起になるが、徒労に終わった。
 百鬼財閥は、影の実力者と言っていいほどの権力を持っている。この国がガラヴァスディ合衆国を筆頭とする先進国の仲間入りをしたのは、この百鬼財閥の力があってこそだと軍の上層部は口を揃えて言う。それほど影響力があり、強大な規模を有する百鬼家の御曹司が消えた。百鬼家も芒星国も、てんやわんやの大騒ぎになっている。
 この事態に、百鬼財閥は芒星国国王陛下を通じて、軍に百鬼朔野の捜索、保護を命じた。それから、一年が経った現在、今でも百鬼朔野の身柄を保護できていない。
 今夜の報告に朔野の実姉である咲野が、何の予告もなく陸軍中央司令本部に訪れてきた。
 咲野は、まだ少々間の抜けている甘いお嬢さんだが、現当主であり、朔野と咲野の父である晃三氏を、立派に補佐している右腕にまで成長した。
 何度か面識があるが、毒をお持ちの可愛らしいお嬢さんである。おかげさまで、夏原の精神は磨り減り、胃がキリキリ、シクシクと痛み出した。
 上司の斉藤は、野暮用で席を外していたため、咲野の毒牙から逃れられた。
 自分は、人身御供に選ばれたのではないかと、夏原の被害妄想は膨らませながら、百鬼家の令嬢の相手をしていた。
 斎藤の足元から、背中へと視線を移す。その視線は先ほどの穏やかなものは見当たらず、険悪な鋭さに変わっていた。
 何度、斉藤を殴る妄想をしたか。本当は、斉藤を力いっぱい殴りたかった。と、言ってもその妄想は、しょせん現実逃避。本当に実行していれば、懲罰房行きだ。
 斉藤に拾われて、十年。軍に入隊してから二年が経った。
 長いようで短い期間の中で、様々なことを体験した。
 夏原は、懐かしむように目を細めた。
「どうした?」
 斉藤が立ち止まり、振り向いた。
「いいえ。ただ……よくも逃げやがったな、と感服しているだけです」
 見つめてくる上司を見つめ返して、言った。夏原の言葉を聞いた途端、斉藤は苦笑を浮かべた。
 上司に対しての話し方ではないことを、夏原は百も承知しているが、斉藤は話し方ひとつで、いちいち目くじらを立てないことも長い付き合いで知っている。
 斉藤自身も、あまり畏まった口調で話しかけられるのを嫌っている。そういうこともあって、夏原は斉藤と二人きりの時だけ、話し方をラフにしているのだった。
「悪かった」
 ぽつりと、謝罪の一言が耳に届く。
「別に謝罪しなくても良いですよ。俺は、あなたの手足ですから」
 立ち止まっている上司の隣まで近寄って、斎藤の目を見つめて微笑むと、不器用な微笑みが返ってきた。
「その言葉、忘れるなよ」
 重低音の声音に、夏原は目を閉じた。耳元に届いてくるのは、空気の動く音と雪が溶ける音。電灯が唸る音。そして、上司の歩く音。
「忘れませんよ。……忘れません」
 目を開けて、歩き始めた上司の背中に呟いた。いつも、背中を見ているような気がした。
 置いていかれないように、その背中に向かって、歩き出した。なぜか心が逸る。なぜだろう? いつもの夜の散歩だ。紗江子にプレゼントを渡して、夕食を一緒に食べて、終わったら、また仕事場である執務室へと戻っていく。いつものことだ。それなのに、なぜ、心は騒いでいるのだろう? なぜ、第六感は警鐘を鳴り響かせているのだろうか。
 夏原は、ドキドキと騒ぐ胸のあたりに手を当て、小走りになっている足を宥める。
 例えなにがあっても、この人の背中を守る。それは、斎藤に誓いをたてた日からずっと夏原の胸にある灯火。
 闇に染まった天から降り続ける白い結晶を数えながら、斉藤の残していく黒い足跡を辿って、夏原は祈った。
 ――守れますように、と。

 夏原は、執務室にある自分のデスクで、明日中に処理しなければいけない書類に向かって奮闘していた。
 この一週間、斉藤が溜めに溜めまくった結果、この室内に設置されてある机という机に、ででんと束が占領している。この状況を見て、二つ年下で同僚の真島中佐が、フフフ、と不気味な笑い声を立てて失神したのが、昨日のことだった。
 夏原は、先刻ほどの自分の言葉である「手足」発言を撤回したくなった。
 ちくしょう。それだけが、今の夏原の心境だった。
 黙々とペンを走らせながら、斉藤への鬱憤をギリギリと心の内だけで叫ぶに留まらせている。そんな自分に乾杯したくなった。
 ペンを走らせる音が、ぴたりと止んだ。夏原は、ペンを横に置いて頬杖をついた。
 同時に、斉藤の眉がぴくりと動いた。
 斎藤の視線を感じながらも、構わずに夏原は目を閉じた。数時間前の紗江子の笑顔が浮かび上がってくる。そして、弟の笑顔も。といっても、弟の笑顔は「本当」ではない。ど「本当」の笑顔は、傍にいても数回程度しか見たことが無い。育った環境が苛酷だったためか、あまり感情を表に出さない。
 それは、夏原もそうだった。
 夏原と忠が生まれ育った街。膿と蔑まれたガラヴァスディ合衆国最大の汚点と言われた見捨てられた街。
 それが、夏原と忠の故郷だった。
 夏原と忠は、生まれたときから花街で暮らしていた。否、スラム街と言って良いかもしれない。忠とは腹違いだった。が、従兄弟でもあった。お互いの母親が、姉妹だった。そして、娼婦だった。
 夏原も、忠も親に売られてここに来たのだと、母親から聞かされていたが、それが嘘だろうと、真実だろうと、腹違いであることも、親が娼婦だということも変わらない。
 ただ、忠がいて、忠の母も、自分の母もいてくれる。それだけでよかった。
 店での生活も苦ではなかった。店で働いている他の女も、支配人も、兄弟が将来不自由なく生活出来るように読み書きも教えてくれた。
 幸せな日々だった。だが、そんな日々は長く続かなかった。
 ガラヴァスディ合衆国。それが、当時兄弟が暮らしていた国の名前だった。そして、全てを奪った国の名前でもある。
 ガラヴァスディ合衆国は、風俗店を代表とする水商売を、全て禁止する法案を打ち出した。
 潔癖な性質で有名なガラヴァスディ人はこの法案に賛成した。つまり、可決されてしまったのだ。だが、水商売を禁止するこの法律を、諸手を挙げて賛成し可決に持っていったのは全て豊かな財産を持つ中流から上流の生活をしているガラヴァスディ人だけだった。
 生活に苦しむ移民や、下流のガラヴァスディ人にとっては、たとえ「性」を売る商売だろうと、生計を立てるには必要な仕事だった。そのために、護らなければならないルールが山ほどあった。
 下流の、それもスラム街に住むしかない住民は打撃を受けた。兄弟たちが暮らしていた店も例外なく対象となった。娼婦だった女たちの糧は無くなり、スラム街は以前よりも荒れ果て、獣の街と成り下がった。
 家を失った兄弟は、母親と別れるしかなかった。もはや、母親も子どもを養いながら娼婦をしていくには難しい生活になっていた。
 仕方なく、母親たちは店の支配人の紹介で「ハヤテ」と名乗る男に引き取ってもらうように頼み込んだ。
 男は二つ返事で、兄弟を引き取った。
 男は殺し屋だった。夏原に殺し屋の素質を見出し、一人前の殺し屋に育て上げた。
 夏原は、獣の街となったここで、自分と忠を養っていくためには、ハヤテに「殺し」の術を教わることしか、思いつかなかった。
 人を殺してはいけないという禁忌や道徳といったものは、夏原の価値観になかった。生きていくためならば、強くなくてはならない。それが、「獣の街」の現実だった。
 それからというもの、ハヤテに「殺し」の術を教わりながら、忠に読み書きを教え、飢えを凌ぐために食べ物を盗み、寒さを防ぐために他人から服を奪い取る日々が続いた。
 そんな日々が五年続いた。
   ガラヴァスディ合衆国から家を、温もりを奪われてから、五年が経っていた。その頃になると、夏原は「殺し屋」として成長していた。ハヤテの補佐もなく、一人で仕事を任せられることも多くなっていた。
 夏原は嬉しかった。ハヤテに認めてもらえたことが、本当に嬉しかったのだ。
 ゴミといわれるほど、酷く、汚く。人が生活するような街ではないこの街で、五体満足で生活できる喜びを噛み締めた。
 母親がいた。それでも、今はハヤテがいる。忠がいる。そして、忠には自分がいる。
 どれだけ、この街で自分たち兄弟は恵まれているのか。涙がこぼれるほど切なく、嬉しかった。

 良かった。生まれて、良かった。生きていて、良かった。
 例えゴミだろうと、生きていく。生き抜いてやる。意味がなかろうと、理由がなかろうと、生きていくためなら、弟のためなら、誰かを犠牲にしようとも、生き抜いてやる。
 今の希望は、ただ、生きることだけだ。

 それが、当時の夏原の思いだった。
 ハヤテから自立したときには、夏原は十歳。忠は七歳になっていた。夏原は、十歳で「殺し屋」として自立していた。だが、感情の起伏は、日々を重ねるごとに無くなっていた。忠の方は、まだ年相応の感情は残っていた。
 親に庇護され、死が隣り合わせの日々を送っていない子どもを「子ども」と呼ぶのなら、この兄弟は「子ども」ではなかった。「子ども」と言い表せないほど、冷めた目をしていたからだ。

 世界がどういうものか。
 真理がどういうものか。
 大人がどういうものか。

 彼ら兄弟は、知らなくていいことを知りすぎていた。兄弟の目はそれらを物語っていた。
 虚無と、生の執着を抱きながら、兄弟はハヤテから自立して、幾度目かの冬を迎えた。
 その日は、雪が激しく降っていた。兄弟はハヤテの店で、寒さを凌いでいた。といっても、隙間があちこちに点在していて、そこから冷たい風が吹いてくる。その風から身を護るように、薄手の毛布の中で身を寄せ合っていた。
 弟が呟いた。
「おなかすいた」
 兄は薄く微笑んで、弟を抱き締めた。
「おなか、すいた」
 弟の淡々とした言葉に、弟を抱き締めたまま、頷く。
「おなか、すいたな」
 同意して、抱き締める力を強めた。弟は苦しいのか、弱弱しく兄の胸を叩く。泣きたくなった。弟の手は細い。華奢ではない。骨が浮き出てしまっている。申し訳ない程度に、薄く肉がついている程度だ。もっと、仕事をしなければいけない。もっと、お金を貯めなければいけない。
 ハヤテから自立したと言っても、仕事の仲介を頼んでいる面を思うと、まだまだハヤテの手がないと生活ができていない。
 早く大人になりたい。そうすれば、飢えから、寒さから、敵から、弟を護れるのに。
 弟の折れてしまいそうなほど、弱弱しい身体を抱き締めた。
 その時、ノック音が情けなく響く前に、夏原の鋭い感覚は招かれざる客人の気配を察知した。
 ドアが開くと同時に、兄は部屋の隅に素早く移動し、弟を背中で庇う戦闘態勢に入った。
 部屋に入ってきたのは、三人。一人は見知っている人物、ハヤテだった。しかし、残りの二人は知らない。
 兄は警戒を緩めず、ハヤテも含めて三人の大人を睨みつけた。
 その兄の眼差しに、三人のうち一人が怯むように一歩後ずさる。雰囲気からして、その大人は素人のようだった。
「ハヤテ。なんだ、これは」
 兄は重々しく、ヒゲを生やした男に声をかける。
 ハヤテ、と呼ばれた男は、汚くニヤリと猫のように笑った。
「お前さんらを引き取りたいそうだ」
 ハヤテの声は、しゃがれていて、聞くに耐えないざらざらとした声だった。
 兄は、眉をしかめた。ハヤテの言葉が信じられなかった。
「引き取る? おれたちを?」
 警戒を緩めず、大人たち三人を弟の視界に入らないように少し腰を上げた。兄は、三人を汚いものでも見るかのように冷めた目で見つめた。
「本気か? 見るからに金持ちそうな奴だけど?」
 ハヤテが着ている服は、あちこちにつぎはぎがある。もともとは白いワイシャツにジーンズだった。ワイシャツは汚く黄ばみ、ジーンズはあちこちが泥と埃で汚れている。たいして、残りの二人は、見たこともない綺麗な服を着ていた。
「おまえが大嫌いな雪男、雪女じゃねえ」
 雪男、雪女はガラヴァスディ人の俗称だ。雪男、雪女のように青白いことからそう呼ばれている。
「じゃあ、なんだよっ!」
 兄はツバを吐き捨てるように、怒鳴った。
「お前さんらを引き取りたいと言っている、同じ芒星人さ」
 兄は眼を見開かせた。後ろにいる弟は、兄の服の裾を握り締める指の力が強くなった。
「同じ、人種だから、俺たちを引取りたいからって……おれが信じると思うのかよ?」
 静かに問いかけるその姿は、子どもとはとても言えなかった。老成され、洗練させた戦士のものだった。
「君の言い分は最もだな」
 今まで口を開かずに静観していた一人が言った。兄の蔑んだ眼差しに構わず、兄弟に近寄っていく。
 その男の目の色は青かった。兄は呆然として、その男の目を見つめた。
 海のように深く、空よりも鮮やかな青い瞳。
 夏原は、目の前の青い瞳の男に戦慄した。

 ――それが、斉藤征一郎との出逢いだった。

 夏原は目を開けた。今でも覚えている。艶やかな、今はもう白いものが混ざってしまっているが、暗褐色の髪に、芒星人には珍しい、鮮やかで海のように深い青い目だった。その青い目には、よく研がれた刀のように冴え冴えとしていた。
 思わず背筋が、ぞくりとした。
 もう、あの時から、斉藤に屈服していたのかもしれない。畏怖と尊敬が芽生えていたのかもしれない。
 雪が降るということは、何かが動く前兆に思える。
 十年前に拾われた日にも、一年前弟の忠が行方をくらました時も雪が降っていた。
 そして、今日も雪が降っている。
 何が起きるのか。何が起きようとしているのか。
 今日の雪は、いったい何の前兆なのか。夏原は、自分の胸に手を当てた。軍服にシワが出来るほど、握りしめた。
 祈った。
 脳裏に、忠の背中を思い浮かべて、祈った。
 君の道先に光り在れ、と。

 雪よ、降り止むな。
 そのまま、積もって、これから起こる全てを潰して消し去ってくれ。